国際相続コラム

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海外在住の方からよくいただくご相談(当事者間での話の進め方・対応編)

  • よくある質問

海外に住んでいると、日本にいる家族と相続の話をする機会も少なく、「なんとなく気になってはいるけど話せていない」という声を多く聞きます。

また、離れているからこそ、気づけないすれ違いや、話し合いに入りづらい場面も多くあるようです。

そして、実際に相続が発生した際にも、どのようにアクションをとるべきかのご相談はよくいただきます。

今回は、海外在住だからこそ直面しがちな「当事者間との話の進め方、対応」にまつわるご相談をまとめました。

Q1:親に相続や遺言の話を切り出すと「縁起でもない」と言われてしまいます。

A1:とてもよくあるご相談です。

相続について話そうとすると「縁起でもない」と言われたり、「まだ元気なんだからそんな話しないで」と拒否されたりするケースは少なくありません。

そんなときには、“自分が困らないようにしたい”という視点から話を切り出すのも効果的です。

たとえば:
「私が海外に住んでいるから、万が一のときにすぐ動けないのが心配で…」
「兄弟間で相続争いになった友人がとても困っていたから…」
「海外に資産がある場合はとくに手続きが大変だって話を聞いて…」
「お父さんやお母さんがどうしてほしいと思っているのか、ちゃんと知っておきたいんだ」

こうした言い回しは、“死に備える話”ではなく、“家族が困らないための確認”という形になるため、受け入れられやすくなります。

相続はときに感情も絡むので、相続人間で思わぬすれ違いが生じることもあります。

相続が発生する前の段階であれば、「将来的に困らないように情報を共有しておきたい」と早めに伝えておくとよいでしょう。

また、「何も起きないのが一番だけど、万が一に備えて考えておくのも大事だよね」という温度感で、遺言の作成を提案してみるのもひとつかもしれません。

Q2:私だけが海外在住です。父親が亡くなり相続手続を行う必要があるのですが、これまで日本にいる両親の面倒は日本に住んでいるきょうだいが見てくれていたため、あまり波風を立てるようなことはしたくないと思う一方、まったく関与しないのも気がかりです。

A2:ご自身だけ海外在住のため、相続手続きに関与しづらかったり、どこまで意見を述べていいかわからない、というご相談もよくお受けします。

まず、お父様が遺言を残しているかどうかで対応は異なります。

遺言がない場合は、遺産を分割するには、あなたを含めて相続人全員の同意を得る必要があります。つまり、あなたが同意しない限り手続きは前に進みません。

このようなときに、特に話し合いもないまま、日本の相続人から一方的な内容の書類が送られてきてサインをするよう求められた、というようなご相談もよくあります。こういった場合には、しっかりと内容を確認することが必要です。

相続の話し合いは、当事者同士では思わぬすれ違いにより感情的な紛争が発生することは珍しくありません。弁護士が間に入って話し合いをしたり、必要書類の準備などの手続きを海外在住者に代わってやり取りすることでスムーズに行うことが可能です。

一方、遺言がある場合は、手続は相続人の同意を必要としませんので、遺言執行者が手続きを進めていきます。

遺産の分け方がご自身の遺留分(法律上最低限保障されている遺産の取り分)を下回る場合は、「遺留分侵害額請求」が可能ですが、請求できる期限がありますので、早めの情報収集とアクションが必要です。

また、遺言があり、日本の親族が遺言執行人となったものの、遺言どおりに財産を渡してくれないというようなご相談も実際にあります。

いずれにしても、弁護士へ相談することで相続に関する不安を払しょくすることが可能になりますので、お早目のご相談をおすすめしています。

 

以上、海外在住の方からよくいただくご相談内容(当事者間での話の進め方・対応編)でした。

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