国際相続コラム

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海外在住の方からよくいただくご相談(はじめての相続直面編)

  • よくある質問

海外に住んでいると、日本の相続手続きが一層わかりにくく感じられるものです。その上、専門用語や書類の準備、手続きの流れに戸惑う方も多くいらっしゃいます。

今回は、はじめて相続に直面した海外在住者の方からよく受ける質問をまとめました。

Q1:相続手続きには、まずは相続人が誰であるか、戸籍をそろえて確定させる作業が必要だと聞きました。日本国籍の海外在住者の場合はどのように準備したらいいのでしょうか?

A1:海外在住のご本人様が直接市町村役場に請求することも可能ですが、費用の支払いが煩雑であったり、取得した戸籍の送付に利用される国際郵便の事情が悪かったり、EMS(国際スピード郵便)のサービスが対象外の国もあるようです。

弁護士の場合、依頼者本人に代わって戸籍等を請求できますので、弁護士にご依頼いただいた方がスムーズです。

Q2:相続の手続きには期限がありますか?

A2:手続きにはそれぞれ期限があり、例えば相続放棄は「相続開始を知った日から3か月以内」、相続登記は「不動産の所有権の取得を知った日または遺産分割が成立した日から3年以内」、相続税の申告と納付は「相続開始を知った日から10か月以内」と定められています。

海外在住の場合でもこの期限は原則変わりませんので、早めの準備が大切です。

Q3:弁護士との書類のやり取りや連絡手段はどう行われますか?

A3:多くの手続きは郵送や電子メール、オンライン面談を組み合わせることで進めることができます。

裁判所へ提出する委任状などは原本を郵送いただく必要がありますが、基本的にはメールとオンライン面談で連絡を行う形となります。

Q4:私は海外在住が長く、日本には住民票がありません。相続手続きにあたっては、印鑑証明書が必要になると聞いたことがありますが、住民登録をしていないので印鑑登録証明書もありません。こういった場合、どうなるのでしょうか。

A4:はい、確かに遺産分割協議書には、通常、相続人の署名、実印による押印、印鑑登録証明書を添付します。

印鑑証明書がない海外在住者の場合は、それに代わるものとして、在外公館発行のサイン証明、在留証明を取得する必要があります。

(もっとも、不動産の相続登記手続に関しては、相続人の居住国の公証人による署名認証で代替可能な場合もあります)

Q5:亡くなった父の日本の銀行預金について相続手続きを進めていたところ、海外口座への送金は対応していないと言われてしまいました。日本に住民票がないため、今から日本国内に口座を開設することもできないようです。どうすればいいでしょうか。

A5:日本の金融機関は、原則として受領する相続人名義の日本国内の金融機関の銀行口座に対してのみ払戻金の振り込みをします。

そのため、日本在住の他の相続人が遺産を受領し、海外在住の相続人に対して代償金を支払う内容の遺産分割協議にすることが考えられます。

遺産分割を弁護士に依頼する場合は、弁護士が代理して預り金口座で受領し、海外送金手続きを行うことが可能です。

 

以上、相続に直面した海外在住の方からよくいただくご相談内容でした。

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