アメリカの金融機関は、契約者や権利者本人が直接電話で担当者と話をすることを求めることが多く、語学の問題や時差の関係から対応のハードルが高いといえます。また、アメリカの金融機関から相続預金等の払戻を受ける場合には小切手が多用されますが、昨今、外国小切手の取立てに応じる日本の銀行はほとんどなく、外国の相続財産の受取に不便が生じています。
1.アメリカの金融機関対応
銀行口座に関する問合せに限らず、クレジットカードの有効化や送金等、あらゆる事項について、アメリカの金融機関は電話による契約者や権利者本人の連絡や確認を要求することが多いです(場合によっては本人が窓口まで来るように指示されることもあります)。
ところが、多くの日本人にとって、英語で取引について説明することは容易ではなく、また時差があるため連絡できる時間帯も限られてしまいます。さらに、電話に出る担当者によって、対応や指示の内容が大きく異なることも多いです。
このように、アメリカの金融機関への対応は、日本人にとってハードルが高いといえます。そのため、これらの手続には国際相続の手続に精通した弁護士等専門家のサポートが必要になることも多いでしょう。
2.海外小切手
現在、マネー・ロンダリング規制の観点から、日本のほとんどの金融機関は外国小切手の取立てを受け付けていません。
一方、アメリカの金融機関は今も小切手を多用しています。そのため、相続の分配金を外国小切手で受領した場合、日本で換金できず対処に困るという事態が発生してしまいます。日本のごく一部の銀行では、現在も外国小切手の取立てを行っているようですが、そのための口座開設が必要となります。
これらのことから、相続の分配金は、小切手ではなく、送金するよう金融機関に依頼することが重要です。
なお、アメリカから日本の口座への直接送金を行う場合、アメリカの金融機関で相続人名義の口座があれば送金をスムーズに行うことができますが、上記のマネー・ロンダリング規制の関係から、最近では、アメリカの金融機関における非居住者の新規口座開設の条件が厳しくなっています。この点でお困りの場合、まずは当方法律事務所までご相談ください。
国際的な相続によるアメリカ金融機関等の対応にお困りごとがございましたら、国際相続事件の経験豊富な弊事務所へまずはお気軽にご相談ください。お問い合わせはこちらからどうぞ。