依頼者:アメリカ在住日本人(被相続人の子)
被相続人:日本在住日本人
相手方:日本居住日本人、海外居住日本人
1. 事案
アメリカ居住の日本人である被相続人が逝去され、アメリカと日本に残された相続財産について遺産分割を行うこととなりました。
アメリカの財産については、依頼者が人格代表者(相続財産管理人)となってプロベートを行いその手続は完了しましたが、日本の財産については遺言がなく、また相続人全員による遺産分割協議が未了の状況にありました。
2. 課題
相続人が日本と海外に点在して居住しており、また海外居住の相続人の中には正確な所在が明らかでない方もいたことから、裁判所外での話し合いにより遺産分割協議を成立させることは困難な状態でした。
また、相続人同士が疎遠となっていたことから、遺産分割に影響を及ぼす事情(生前贈与、寄与分等)について相続人間に共通の認識がなかったため、これらを証拠に基づき明らかにする必要がありました。
さらに相続財産の中には立地条件等から換価が難しいと考えられる不動産があり、その取扱いが問題となりました。
3. 当事務所の対応
相手方となる相続人の中に海外居住者がいたため、日本の裁判所での遺産分割調停による解決は難しい事案でしたが、代理人間で交渉し、日本居住の相続人の代理人が依頼者以外の海外居住の相続人も代理することとなり調停が開かれることとなりました。
また、争点となった特別受益や寄与分についての主張立証を尽くしたことは勿論ですが、相続人らにとって最終的に金銭の形で分配できる財産が増えることでより柔軟な解決が可能となると考え、不動産や非上場株式の換価を目的としてこれらの相続財産を特定の相続人が単独取得する内容の一部調停案を提案し、停滞気味であった調停手続を前に推し進める努力をしました。
さらに、依頼者が単独で取得した不動産は換価が難しい物件でしたが、適切な仲介業者を依頼者に紹介し、当初見込んでいた金額よりも大幅に値上がりした金額で不動産の換価を実現し、これにより遺産分割調停全体の解決を早めることができました。
加えて、依頼者が海外居住者であったため、売却代金から不動産譲渡所得税として多額の税金が源泉徴収されましたが、被相続人の資産に関係する過去の資料から不動産の取得費用に関するものを探し出し、担当の税理士に提供するなど税務申告に関してもサポートを行いました。
4. 成果
依頼者が死亡時受取人指定(POD)により受取った米国の資産は特別受益として持ち戻されることなく遺産分割調停を成立させることができました。
また、不動産等の換価が首尾よく実現でき相続財産に占める金銭が大幅に増加したことで、他の相続人の寄与分の主張についても相続人間の譲歩により解決することができました。
依頼者は当初、日本の相続財産から得られる財産はごく少額と考えておられましたが、予想を大きく上回る結果となり、大変喜んでいただくことができました。
5.依頼者の声
When my father passed away in the US, he did not have a will. His assets were in both the US and Japan and had a recently married wife in Japan. To complicate matters further, my sister decided to live on an abandoned island making contact very difficult. As I reside in the US, I needed help with the Japanese side of things and I sought out this law firm through a recommendation. Over the years we were not expecting much out of the procedures and I just wanted to settle my father’s estate legally so I would not be penalized in the future.
Originally, it was projected that the legal fees would exceed any distribution from the procedures and the law firm told me that they would settle with me with what was received through the distribution. Due to the complicated nature of the case, this process lasted over 7 years. They were patient with me in the correspondence, and we were able to schedule meetings despite the time difference.
However, due to the hard work of this law firm looking out for my interests and capitalizing on various opportunities that arose, the distribution greatly exceeded what we were expecting and I received a substantial sum. I wholeheartedly recommend this law firm for any one experiencing complicated international inheritance matters.
(当事務所による日本語訳)
私の父がアメリカで亡くなったとき、遺言書はありませんでした。彼の資産はアメリカと日本の両方にあり、日本には最近結婚した妻がいました。さらに事態を複雑にしたのは、私の妹が無人島で生活することを決め、連絡を取るのが非常に困難になったことです。
私はアメリカに住んでいるため、日本側の手続きについて助けが必要で、紹介を通じてこの法律事務所に依頼しました。長い間、私たちはこの手続きにあまり期待を抱いておらず、将来的に不利益を被らないように父の遺産を法的にきちんと整理したいだけでした。
当初は、手続きによる分配金をすべて合わせても法的費用の方が上回ると見込まれており、法律事務所からは、分配によって受け取った金額の範囲内で私と清算を行うつもりだと告げられていました。
案件が複雑だったため、この手続きは7年以上にわたって続きました。事務所の方々は私とのやり取りにおいて辛抱強く対応してくださり、時差がある中でも打ち合わせを行うことができました。
しかし、この法律事務所が私の利益を守りつつ、発生したさまざまな機会を的確に活かしてくれたおかげで、最終的な分配額は当初の予想を大きく上回り、私は相当な金額を受け取ることができました。
複雑な国際的相続問題に直面している方には、この法律事務所を心からおすすめします。