依頼者:アメリカ在住日本人(被相続人の子)
被相続人:日本在住日本人
1. 事案
本件の相続人は依頼者1人だけでしたので、相続手続自体はごくシンプルな内容でした。
しかし、海外居住者であることから、金融機関から相続財産の払い戻しを受ける国内口座がなく、また新規で口座開設することも難しく、依頼者は相続財産の受取りに困っておられました。
また、相続財産の一部に被相続人の親族との共有になっているものがあり、依頼者はその共有財産の換価手続を進めていましたが、共有者である親族との意思疎通が途中で困難となりこの点についても困っておられました。
2. 課題
相続手続については、委任者が海外在住者であったことから、依頼者の協力を得て在外公館のサイン証明付委任状など、通常の手続とは異なる必要書類を揃える必要がありました。
また、依頼者と共有者である親族との間で感情的な軋轢が生じていたため、関係性の悪化を回避しつつ、共有財産の処分を完了する必要がありました。
3. 当事務所の対応
相続手続自体は、依頼者の協力も得て全般的にスムーズに行うことができました。
相続手続に付随するものとして、相続開始後に支払われた公的年金の過払い分の返納手続なども代理人として行わせていただきました。
共有財産の処分についても、共有者である親族からの要求を吟味し、応じるべき点は応じ、理由のない請求には応じないという方針を打ち出し、関係性の悪化を避けつつ合理的な交渉を行いました。
また、海外居住者が相続財産を処分した場合、譲渡所得税は売買代金から源泉徴収されることとなっていますが、被相続人の取得費用を相続人が引き継ぐことができれば、後に更正の請求を行うことも可能であるため、事前に税金の還付の可能性についても十分に検討しました。
4. 成果
相続手続は全て完了し、弊事務所の預り金口座に財産を集約したのち、海外の依頼者の口座へ送金を済ませました。
また、依頼者と共有者である親族とのトラブルがあったものの、共有財産の処分も無事に済ませることができました。
さらに、相続財産の売却による譲渡所得税の源泉徴収額については、翌年の確定申告時期に更正の請求を行うことで全額還付を受けられる見通しがつき、依頼者にもご安心いただけました。
5.依頼者の声
阪口先生には大変お世話になりました。
海外在住相続人が直面する問題を幾つも抱え、日本に帰国中も口座解約すら簡単には出来ず、実のところ相続手続き自体を半ば諦めていました。しかし先生に依頼後には滞りなく全て解決され、今は安堵の気持ちでいっぱいです。
財産相続の他、困難であった共同不動産売却の際には、代理人としてご出張を依頼する形になってしまいましたが、先生の専門知識と的確なご判断で締結することができました。
度々ご迷惑をおかけする事情がありましたが、先生は優しく親身になって相談に乗ってくださり、海外在住の負い目を感じないよう密にコミュニケーションをとってくださり、最終手続きまで進められました。先生にご依頼し本当に救われました。
阪口先生並びに本町法律事務所の全面的なサポートに感謝申し上げます。
(Y.I様)