国際相続コラム

column

日米での国際相続において、養子や事実婚の場合、法定相続人や相続分はどうなりますか

  • 国際相続が起きた場合の対応
  • 相続コラム

アメリカの法定相続人や法定相続分、代襲相続制度、同時死亡制度は州によって異なりますが、日本より生存配偶者が厚遇されているといえます。また、事実婚や同性婚の場合も配偶者として法定相続分が認められる州も多くあります。

1.日本の法定相続人の範囲と相続分

日本では、被相続人の配偶者は常に相続人になり、被相続人の①子、②直系尊属、③兄弟姉妹のカテゴリーの順番で相続人となります。なお、この「配偶者」には、事実婚である内縁配偶者は含まれません。

日本の法定相続分は以下の表の通りです。

直系卑属、直系尊属、兄弟姉妹、甥・姪がおらず、配偶者のみが法定相続人である場合、配偶者が遺産を100%相続します。

2.アメリカの法定相続人の範囲と法定相続分

 

 

相続法は州法ですので、法定相続人も法定相続分も州によって異なります。以下はアメリカの一般的な法定相続人の範囲です。

まず日本と同様、原則として、国籍は相続人たる地位に影響を与えません。次に、配偶者は必ず法定相続人となります。配偶者に分配されなかった財産は、①子孫、②親、③親の子孫、④祖父母、⑤祖父母の子孫、⑥近親者というカテゴリーの順番で相続人となります。

アメリカでの第一順位の配偶者の相続分は、夫婦別産制を採用している州と夫婦共有財産制を採用している州で考え方が異なります。日本と比べると生存配偶者の法定相続分は大きいといえます。

夫婦別産制の場合

アメリカでは、無遺言で子も親も生存していない場合、生存配偶者に遺産の全てを相続させる法律を持つ州は珍しくありません。

夫婦共有財産制の場合

夫婦共有財産制を採用する州の場合、共有財産については、生存配偶者に帰属していた2分の1の持分は当然に清算され生存配偶者に単独帰属します。被相続人に帰属していた2分の1の持分も、相続により生存配偶者が取得するとされます。

3.相続人資格について

養 子

日本では、養子は縁組の日から血族間におけるのと同じ親族関係が発生します。また、特別養子の場合は、実親と養子の親族関係は終了しますが、普通養子の場合は実親との親族関係は残るため、養子は実親と養親の両方の相続人になります。

アメリカでは、州によって異なりますが、日本と同様に、養子とその養親の間には親子関係が存在し、養子と実親との間には相続を認めない州も多くあります。

法律婚以外の配偶者の範囲

日本では、法律婚以外の内縁配偶者や事実婚、パートナーシップの当事者には、相続権は認められません。

アメリカでは、同性婚は法律上正式に婚姻として認められ、同性の配偶者にも無遺言相続権が認められます。

生殖補助医療

日本には、夫の死亡後に、冷凍保存精子を用いて人工生殖により母が出生した子について、父親が懐胎前に死亡しているため死後認知の訴えは認められず、父親の相続人にならないとした判例があります。

アメリカでは、州によって異なりますが、人工生殖の場合、一定の例外を除いて、精子提供者や卵子提供者と子との間に親子関係は存在しないとされ、親子関係を意図して出産した母や、父(婚姻関係のある夫)との間に原則として親子関係が発生します。しかし精子提供をした夫が、離婚や同意を撤回した、若しくは人工授精前に死亡した場合には親子関係は発生しません。なお、夫の死亡後に冷凍保存精子を用いて人工生殖により母が出生した子について、父親が同意をしている場合には法定相続権を認める州もあります。

代理出産

日本では代理出産は認められておらず、海外で適法になされた代理出産による親子関係も、公序良俗に反するとして親子関係は認められません。

アメリカでは、州によって異なりますが、一般的には代理出産の場合、裁判所の命令によって意図された親との間で親子関係が成立するとされています。

4.その他

代襲相続

相続人となるべきものが死亡するなどして相続権を失った場合に、その子どもが代わりに相続する制度を「代襲相続(だいしゅうそうぞく)」と呼びます。

日本では、相続人となるべきものが、①相続開始以前に死亡、②相続欠格事由や廃除、③同時死亡、の場合に代襲相続が認められますが、相続放棄の場合には認められません。兄弟姉妹が相続人となるとき、兄弟姉妹の子は再代襲しますが、その子の子(兄弟姉妹の孫)は再代襲しません。

また、遺言の効力が発生する以前に受遺者が死亡した場合は遺贈が無効となり、別途定めがない限り、代襲相続のような代襲遺贈というものはありません。

アメリカにも代襲相続(Succession by Representation)がありますが、代襲相続分について様々な考え方があります。約3分の1の州は、日本の現行代襲相続と同様に直系卑属の各血統を平等に扱うイギリス式代襲制度(Strict per Stirpes)を採用しており、約半数の州が、現代的代襲方式(Modern per Stirpes / per Capita with Representation)を採用しています。これは、被相続人に生存する子がいる場合はイギリス式代襲相続と同様ですが、生存する子がいない場合は、生存している権利者(孫など)がいる最初の世代で、平等に頭割りで配分されます。残りの12州では、被相続人との関係で同等の親等にある世代ごとに頭割りによる各世代頭割り代襲(per Capita at Each Generation)を採用しています。

特別受益(Advancements)

日本では、共同相続人の中のある者が被相続人の生前に贈与を受けていた場合(「特別受益」といいます)、被相続人が異なる意思を表示していない限り、これらを相続財産額に加え、みなし相続財産として各共同相続人の相続分を確定し、特別受益を受けた相続人は特別受益額を相続分から差し引いて具体的相続分を計算します。

一方、現在のアメリカでは、日本とは逆に、生前贈与は特別受益の意図が示されていない限り特別受益ではないと推定する州が多いようです。

被相続人と相続人の同時死亡

日本では、複数の者が死亡した場合において各人の死亡時期が分からないときは、同時に死亡したと推定され、同時死亡者間では互いに相続は発生しません。

アメリカでは、無遺言相続の場合、被相続人の死亡後に一定時間生存しなければ、被相続人より先に死亡したとみなされて法定相続権を取得できないというルールを採用する州が多いです。

 

以上見てきたように、相続人の範囲や法定相続分、代襲相続、同時死亡等は、適用される相続法によって異なるため、どの国の法律を適用するかが重要となります。

 

 

国際的な相続による対応にお困りごとがございましたら、国際相続事件の経験豊富な弊事務所へまずはお気軽にご相談ください。お問い合わせはこちらからどうぞ。

  • Twitter
  • LINE
  • hatena
  • Facebook

関連記事

アーカイブ

Contact お問い合わせ